Local Stack Studioの使い方
この記事はLocal Stack Studioのヘルプページです。Local Stack Studioで複数の写真を位置合わせして合成し、階調を調整して画像として保存するまでの基本操作と、各合成方式の使い分けを説明します。
概要
Local Stack Studio(LSS)は、複数の写真を重ね合わせて1枚の画像を作るためのWebアプリケーションです。同じ被写体を連続して撮影した写真からノイズを減らしたり、露出の異なる写真からHDR画像を作ったり、ピント位置の異なる写真をFocus Stackingしたりできます。また、単純な平均合成、中央値合成、絞り値を利用した合成、複数画像を縦横に並べるTileも利用できます。
LSSでは、画像の読み込み、位置合わせ、合成、階調調整、最終画像の生成をブラウザ内で行います。合成後には簡易的なTone調整ができるほか、「Edit」からLocal Image Studioの画像エディタを呼び出して、Crop、ホワイトバランス、詳細な階調・色調整、Filter、文字入れなどを行うこともできます。
処理結果はページを閉じても自動保存されません。必要な画像は最後に「Download」で保存してください。高解像度の画像を多数処理する場合には、メモリやブラウザの一時ストレージを大量に使うことがあります。
基本的な使い方
Local Stack Studioを開くと、「Input」「Merge」「Alignment」の設定欄が表示されます。「Choose files」を押して、合成したい画像を1枚以上選びます。画像ファイルをLocal Stack Studioの画面へドラッグ&ドロップして選ぶこともできます。
次に「Merge」で合成方式を選び、「Alignment」で画像をどのように位置合わせするかを選びます。通常はAlignmentを「Auto」のままにしておけば、選択したMergeに適した方式が使われます。「Process」を押すと読み込み、位置合わせ、合成が始まります。
処理が終わると、合成結果のプレビューとTone調整用のスライダーが表示されます。必要に応じてExposure、Midtone、Contrast、Shadow、Highlight、Clarity、Saturation、Vibranceを調整してください。さらに細かく編集したい場合は「Edit」を押します。
最後にJPEG、WebP、TIFF-8、TIFF-16から出力形式を選びます。元画像が十分大きい場合にはFull-sizeのほか、16MP、8MP、4MP、2MP、1MPへ縮小して保存することもできます。「Download」を押すと最終画像が生成され、ローカルファイルとして保存されます。
入力画像
LSSはJPEG、PNG、WebP、TIFFと、多数のデジタルカメラ用RAW形式を読み込めます。RAWではDNG、CR2、CR3、NEF、ARW、RW2、ORF、RAF、PEF、SRW、X3Fなど、多くの代表的な形式に対応しています。RAW画像はLSS内部で自動的に現像されるため、通常は別のソフトウェアでJPEGやTIFFへ変換しておく必要はありません。
複数のファイルを選択した場合、LSSはファイル名を自然順で並べて処理します。例えば image2 は image10 より前になります。Tileではこの順序がそのまま並び順になり、連写やFocus Stackingでも処理順を把握しやすくなります。
写真の大きさが異なっていても処理できますが、選んだAlignmentによってCrop、拡大縮小、余白追加などが行われます。撮影条件が近く、同じ画角で撮影した画像を使うほど、合成は安定します。
1枚だけを選ぶこともできます。HDR1とHDR2では、1枚から暗・中・明の3種類の素材を内部生成して単写HDRを行います。Tileでは1枚だけでも枠付きのTile画像を作ります。それ以外のMergeでは、1枚入力時には位置合わせや複数画像の合成を省略し、その画像をそのまま後段のTone調整へ渡します。
Mergeの選択
「Merge」は、複数の画像をどの方法で1枚へまとめるかを指定します。同じ入力画像でもMergeによって目的と結果が大きく変わります。
Blend (average)
「Blend (average)」は、位置合わせした各画像を同じ重みで平均します。三脚や連写でほぼ同じ構図の写真を複数撮影した場合、ランダムなノイズが平均化され、1枚だけの場合より滑らかな画像を得られます。
一方、被写体が画像ごとに動いていると、その部分が半透明に重なったようなゴーストになります。固定された風景、夜景、物撮りなどに向いています。
Denoise (median)
「Denoise (median)」は、各画素について複数画像の中央値を求めて合成します。単純平均よりも、一部の画像だけに写った外れ値の影響を受けにくいため、ランダムノイズや一時的な物体を抑えたい場合に利用できます。
中央値は全入力を比較する必要があるため、高解像度画像を多数使うと処理量とブラウザの一時ストレージ使用量が大きくなります。画像同士の位置が十分に合っていない場合には細部が崩れるので、必要に応じてFeature matchによるAlignmentを選んでください。
HDR1 (Debevec)
「HDR1 (Debevec)」は、露出の異なる複数画像からDebevec方式でHDRの放射輝度を復元し、通常の画像として見られる階調へ変換します。暗い露出に残っているハイライトと、明るい露出に残っているシャドウを利用して、1枚では収まりにくい広い明暗差を扱う用途に向いています。
複数画像を使う場合、EXIFの露出情報を利用できればその情報を合成に使います。必要な露出情報が揃わない場合には、画像の明るさから合成に必要な関係を推定します。
1枚だけを指定した場合もHDR1を利用できます。この場合は元画像から暗・中・明の3素材を内部生成してからDebevec合成を行います。複数露出を実際に撮影したHDRとは情報量が異なりますが、単写から強い階調表現を作りたい場合に利用できます。
HDR2 (Mertens)
「HDR2 (Mertens)」は、Mertens方式のExposure Fusionで複数画像を合成します。HDR1のようにHDR放射輝度そのものを一度復元するのではなく、各入力画像の使いやすい明るさや色の部分を重み付けして合成します。
露出違いのブラケット撮影から自然な見た目の広い階調を作りたい場合に利用できます。HDR1と仕上がりの傾向が異なるので、同じ素材で両方を試して好みの方を選ぶこともできます。
1枚入力の場合は、HDR2用の暗・中・明の3素材を内部生成してExposure Fusionを行います。
STF (aperture-weighted)
「STF (aperture-weighted)」は、各画像の絞り値を利用して重みを決める合成です。全画像からEXIFのF値を取得できる場合には、開口の大きい画像ほど比重を高くし、露出差も補正してから平均します。F値を取得できない画像が含まれる場合には、各画像を同じ重みで扱います。
絞りを変えて撮影した複数画像を1枚へまとめたい場合に利用できます。通常の平均合成とは重みの付け方が異なるため、同じ素材でも結果が変わります。
Focus (sharpness-weighted)
「Focus (sharpness-weighted)」はFocus Stacking用の合成です。ピント位置を少しずつ変えて撮影した画像を解析し、各場所でよりシャープな画像の寄与を大きくして、手前から奥までピントの合った画像を作ります。
マクロ撮影や物撮りのように被写界深度が足りない場合に有効です。入力画像の構図がずれている場合は合成境界が不自然になりやすいので、Alignmentは通常「Auto」または「Feature match (ECC)」を使うのが適しています。AutoではFocus用に中央付近のフレームを基準として位置合わせします。
Tile (Vertical) / Tile (Horizontal)
「Tile (Vertical)」と「Tile (Horizontal)」は、画像同士の画素を混ぜず、複数画像を1枚の大きな画像へ並べます。Verticalは縦方向、Horizontalは横方向です。各画像の間と外周には境界が入ります。
露出違い、処理違い、連写などを比較用の1枚にまとめたい場合に便利です。Tileでは「Auto」のAlignmentはCenter fillになり、画像サイズが異なる場合でも同じ枠へ配置できるようにします。
Alignmentの選択
「Alignment」は、Mergeの前に入力画像の大きさと位置を揃える方法です。ほとんどの場合は「Auto」から始めれば十分です。
「Auto」はMergeに応じて方式を自動選択します。BlendではCenter crop、TileではCenter fill、それ以外の複数画像合成ではFeature match (ECC)が基本になります。1枚入力ではFeature matchは行いません。
「Center crop」は、各画像の中央を基準に、全画像に共通する最小の幅と高さへ切り揃えます。画像の拡大縮小は行いません。同じカメラ、同じ解像度、ほぼ同じ構図の画像を単純に重ねたい場合に向いています。
「Center fit」は、最も大きい画像の寸法を基準に、各画像の縦横比を維持したまま拡大縮小し、中央部分を切り出して出力枠いっぱいに合わせます。入力画像のピクセル寸法が異なる場合に使えますが、画角自体が異なる写真を完全に一致させる機能ではありません。
「Center fill」は、最大の幅と高さを持つキャンバスを作り、各画像を拡大縮小せず中央へ配置します。画像より外側の領域は灰色で埋められます。「Top left fill」は同様ですが、画像を左上へ揃えます。
「Feature match (ECC)」と「Feature match (ORB)」は、画像内容を解析して位置、回転、スケールなどのずれを補正します。ECCは画像全体の濃淡パターンを利用した位置合わせ、ORBは特徴点の対応を利用した位置合わせです。選んだ方式で位置合わせできなかった場合には、もう一方の方式も自動的に試されます。
Feature matchを使う場合、画像サイズが異なれば、まず共通して扱える大きさへ中央Cropしてから位置合わせします。大きく異なる画角、極端な被写体移動、模様の少ない画像などでは自動位置合わせに失敗する場合があります。その場合は別のAlignmentを試すか、事前に構図を揃えてください。
合成後のTone調整
Processが完了すると、合成結果の下に8個のTone調整が表示されます。これらは最終画像へ反映されます。
「Exposure」は画像全体の露出をEV単位で調整します。「Midtone」は中間調の明るさを中心に調整し、「Contrast」は明暗差を強くしたり弱くしたりします。「Shadow」は暗部、「Highlight」は明部を主に調整します。
「Clarity」は局所的な明暗差を変え、細部の見え方を調整します。「Saturation」は画像全体の彩度を調整し、「Vibrance」は彩度の低い色を中心に鮮やかさを調整します。
各スライダーをダブルクリックすると、その項目だけ0へ戻せます。合成結果を比較したい場合は、まず全項目が0の状態で合成そのものを確認し、その後に必要なTone調整を加えると分かりやすいでしょう。
ここにあるTone調整は素早い仕上げ用です。White balance、Black/White、Tone curve、Mixer、Filter、Crop、Denoise、Sharpenなど、より多くの編集機能が必要な場合には「Edit」を使います。
Editで画像エディタを使う
「Edit」を押すと、現在の合成結果をフルサイズで生成し、LISと同じ画像エディタを開きます。「Edit」を押した時点でLSS側のExposure、Midtone、Contrastなどを変更していた場合、そのTone調整を反映した画像がエディタへ渡されます。
画像エディタでは、ホワイトバランス、Tone、トーンカーブ、Color、Mixer、Filter、Crop、Text、Draw、Mosaic、Vignette、Denoise、Defringe、Resize、Sharpenなどを利用できます。詳しい操作はLocal Image Studioの使い方を参照してください。
エディタで「Finish」を実行すると、編集済み画像がLSSの合成結果として置き換わります。その時点でLSS側の簡易Toneスライダーは0へ戻ります。これは、Edit前のTone調整が既に画像へ反映済みだからです。Editをキャンセルした場合は元の合成結果へ戻ります。
プレビューと等倍確認
合成結果はまず画面内に収まるプレビューとして表示されます。プレビュー画像をクリックすると、その場所を中心にフルサイズ表示が開きます。高解像度の結果ではフルサイズ表示の生成に少し時間がかかることがあります。
フルサイズ表示はドラッグして見たい場所へ移動できます。右上の「×」、背景部分のクリック、またはEscキーで閉じられます。Focus Stackingの境界、HDRのハローやゴースト、Median合成の細部、ノイズ、シャープネスなどは、Download前にフルサイズでも確認してください。
出力形式
LSSはJPEG、WebP、TIFF-8、TIFF-16で保存できます。
JPEGは互換性が高く、写真を他のアプリケーションで扱う場合に便利です。WebPはWeb用途で小さなファイルにしやすい形式です。TIFF-8は8bit/chのTIFFで、JPEGやWebPより後処理を前提とした保存に向いています。TIFF-16は16bit/chで、LSS内部の階調情報をより多く保ったまま、別の画像編集ソフトウェアへ渡したい場合に適しています。
出力色空間は入力画像のICCプロファイルや色空間に応じてLSSが自動的に決めます。全入力がsRGBとして扱える場合はsRGB、それ以外の広色域入力を含む場合はDisplay P3を出力側に利用します。
「Output size」ではFull-sizeのほか、元画像より小さい場合に限り16MP、8MP、4MP、2MP、1MPが表示されます。例えば元画像が1200万画素なら16MPは表示されず、8MP以下を選択できます。縮小時には縦横比を維持して指定画素数に近づけ、縮小後の見え方を整えるためのシャープ処理も行われます。
合成素材を用意する時の注意
LSSの合成品質は、入力素材の撮り方に大きく左右されます。Blend、Median、HDR、Focusでは、できるだけ同じ構図を保って撮影してください。三脚が使える場合は有効ですが、軽い手持ちずれならFeature matchで補正できる場合があります。
HDRでは明るさの違う写真を使いますが、構図や被写体の状態はなるべく揃えます。木の葉、波、人、車などが露出ごとに大きく動くと、ゴーストや不自然な境界が出る場合があります。
Focus Stackingでは、露出や構図をできるだけ固定し、ピント位置だけを段階的に変えると安定します。同じ場所に異なる奥行きの物体が重なる場面では、合成境界を等倍で確認してください。
BlendやMedianでノイズを減らす場合も、動く被写体があると結果が変わります。平均では動体が半透明に残りやすく、中央値では一部の動体が消える場合があります。意図した結果になっているか、最終画像を確認してください。
処理時間とブラウザの一時ストレージ
LSSは高解像度画像をフルサイズで扱うため、入力枚数、画素数、Merge方式によって処理時間と必要メモリが大きく変わります。特にDenoise (median)、Focus、HDRなどでは、処理途中のデータをブラウザの一時ストレージへ保持する場合があります。
ブラウザに十分な空き容量がない場合や、非常に大きな画像を多数選んだ場合には処理が失敗することがあります。その場合は入力枚数や画像サイズを減らす、他のタブを閉じる、不要な一時データを解放してからやり直す、といった方法を試してください。
RAWの初回処理や一部のMergeでは、必要なデコーダやOpenCVの処理モジュールを読み込むため、2回目以降より開始まで時間がかかることがあります。
保存について
Local Stack Studioは、合成した画像をSTGYの画像ストレージへ自動アップロードする機能ではありません。「Download」で保存されるのは、あなたの端末上の画像ファイルです。
合成結果、Tone調整、Edit後の画像は、ページを再読み込みしたり閉じたりすると保持されません。最終結果を確認したら、必要な形式とサイズを選んでDownloadしてください。