200km山岳ブルベ練習

前回までの議論で、Anchor RE8を整備して、車体や装備品や携行品に関しては既にブルベに出られる状態になっている。あとは乗り手の問題だ。ということで、200kmブルベの練習をしてきたので、そこでの気づきをメモしておく。


ロングライド向けのカスタマイズやブルベの戦略については前回の記事で鬼のように詳しく書いたので、興味があれば御覧いただきたい。

自宅周辺は山ばっかりなので、平坦コースは作りづらい。よって、この際、かなり厳しめであろう200km山岳コースを考えてみた。自宅のある地蔵峠から下って、東進して三才山を通って松本。南下して塩尻峠を通って諏訪湖。茅野や原村を赤岳に沿って登って野辺山。それから佐久と小諸を通って北上し、最後に地蔵峠を登ってゴール。Stravaによると、距離203kmで獲得標高3458mだそうな。11時間半で完走できた。

今回の練習で確かめたいことはいくつかあったが、まずは疲労管理とペース配分についてだ。ブルベを脂肪代謝の強度のみで走り切れれば、補給すべきカロリーが半分で済み、また乳酸の蓄積もなく、筋肉疲労も最小なので、理論上は休憩時間がほぼ無しで走りきれることになる。ゆえに、今回のコースを心拍数125bpm以下かつパワー165W以下に抑えて走れるか試したかった。しかし、出かけてから10分くらいして、なぜか急に4iiiiのパワーメータの電源が切れて、二度と起動しなくなった。よって、今回は心拍数を125bpm以下に抑えて走ることのみを心がけた。

結論としては、山岳ブルベでZ2を死守するのは、今の私には無理だった。今回のログでは、Z1が12.9%、Z2が33.8%、Z3が50.0%、Z4が3.1%だった。Z2を越えそうになったらギアを軽くしたりケイデンスを落としたりすればいいじゃないかと思うわけだが、それを愚直にやると時速6kmとかになって、とてもじゃないがブルベの制限時間に間に合わなくなる。それに、止まりそうなほどの遅さで走るとふらつくので、車道を安全に走ることができない。登坂区間でZ3になるのはもう仕方ないと割り切るべきだ。140bpmまでは許容する。その代わり、登坂区間以外ではなるべく125bpm以下にして、アクティブレストで脂肪代謝に戻るように努力する。

もう一つ確かめたかったのは、栄養補給についてだ。200kmであれば、前回述べた特製ドリンク(イソマルツロース30gとEEA15gと塩1gを水700mlに混ぜた飲み物)を適宜飲んでいれば必要カロリーのほとんどを賄えるので、あとは楽しみとしてコンビニ休憩でおにぎり2個食えばいけるはずだ。それを実際に試してみた。イソマルツロースは分解と吸収に時間がかかりインシュリンスパイクが緩やかな分、血糖値が変動しにくく、また脂質代謝を阻害しない。更に言うと、虫歯菌が分解できないので口の中も清潔に保てる。長距離では明らかに有利な糖分だ。EAAは筋肉の分解(カタボリズム)を抑え、さらに再合成(アナボリズム)を促進するために摂取する。塩は、汗で失われる電解質を補うためだ。

結論としては、上記戦略は、いける。今回はZ2に徹するつもりがZ3の方が多いという、想定より高めの運動負荷になったが、それでも補給食はおにぎり2個だけで行けた。走行開始時に特製ドリンクを用意し、道中で同じものを3回作り直して飲んだので、合計でイソマルツロース120gとEEA60gと塩4gを摂取したことになる。途中のコンビニ休憩でおにぎり2個を食べた。それで全く空腹にならなかったし、身体の調子も悪化しなかった。イソマルツロースの腹持ちは尋常じゃない。EAAで腹を下す人がいるらしいが、私はそれに関しても全く問題なかった。固形物の摂取量が少なければ、道中で大を催すこともない。多分、特製ドリンクだけで300kmまでなら補給食なしでもいけるだろう。おにぎり等は栄養補給のためというよりは楽しみのために摂取する感じになる。

導入したサイコンIGS630が200km持つかも確かめたかった。結論としては、通常モードだと持たない。147kmのところで切れた。ただし、バッテリーが少なくなってきた後に「省電力モードにするか」と聞かれてそれをオンにした後のバッテリーの減りは半減したので、最初からそうしていれば200kmは余裕で持ったと思う。省電力モードとは、バックライトを最小化(昼間は0%、夜は10%)して、スマート記録(GPSやその他センサー情報のサンプリングレートを落とす)をオンにするということなのだが、ブルベのような長距離ではこれは妥当な判断だろう。視認性の低下は気づかない程度だし、スマート記録をオンにした方がデータ量が減って後処理も高速になる。なお、電池不足で勝手にオフになった場合も、途中までのデータはちゃんとファイルとして記録されていた。

IGS630のナビは、普通に使いやすかった。「曲がる指示」機能にて、単なるカーブを曲がり角として表示する偽陽性の問題が多少あるが、曲がり角を単なるカーブとして無視する偽陰性の問題はないので、安心して使える。地図の縮尺が自動で変わると見づらいので、「自動縮尺」はオフにした上で、市街地では手動で拡大表示にしておくと良い。地図画面に心拍数とパワーも同時に表示しておくと、負荷の管理と地図の確認が同時にできる。

楕円チェーンリングが山岳ブルベでも有効かも確かめたかった。結論としては、めちゃ有効。ガラスの膝が一切発動しなかった。股関節、特に尻は疲れるが、膝が笑うことも痛むこともない。股関節の接合部の面積は膝関節の比じゃない大きさなので、股関節が壊れることはまずない。中年サイクリストが脚を壊さずに長く走るには、楕円チェーンリングはまじでよい。そして、シッティングで膝関節を温存している分、ダンシングによってパワーゾーンで膝関節と股関節の両方を酷使する結果、きつい時の奥の手としてのダンシングが捗る。今回の終盤の地蔵峠はダンシングで乗り切った。ただし、ダンシングを数分間も時間続けるとZ3すら越えてZ4に入ってしまうので、あくまで奥の手とラストスパートでしか使わない。

新しいカーボンサドルLiteFly 2(旧仕様)のロングライドでの使用感も確かめたかった。結論としては、カーボンサドルとしてはめちゃ柔らかくて、衝撃系の痛みは全く感じなくなった。その代わり、圧迫系の痛みはある。つまり、ペダル荷重が弱くてサドル荷重が強い状態が長く続くと、徐々に尻に鈍痛が蓄積する感じになる。クッションが厚いと圧力分散によって血流が阻害されるので仕方がないことだ。適宜ダンシングを入れて血流を回復させるのが上等手段だ。サドル角度は、個人的には前寄りかつほんの少し前下がり(先端から15%の位置が水平)にすると最も痛みが出にくかった。サドルを後ろに引いたり過度に前下がりにしたりするといつの間にか先っぽの方に座っていて会陰が痛くなってしまう。

Anchor RE8という車体だが、改めて、かなり良い。直進安定性が高いので低速でも高速でもふらつきにくい。スタックハイトが絶妙で、呼吸が苦しくない範囲で適度な前傾姿勢が取れる。フレームの剛性が丁度よいおかげか、漕いでいて脚に負担がかかる感じがしない。かといって力が逃げるような感覚も全く無い。シートポストとサドルを変えたお陰もあって、尻への衝撃も少ない。今回の旅ではむしろ手の痺れが気になった。しかし、これは衝撃系の痺れではなく、圧迫系の痺れだ。ハンドルをしならせたりメカ的に衝撃を吸収したりしても解決しないだろう。適度なクッションの手袋をした上で、持ち手をこまめに変えるしかない。てことは、もうRE8に何も不満はないことになる。これはなかなか凄いことだ。

カスタマイズで導入した各種パーツも、実走にて期待通りに動作することが確認できた。格安カーボンシートポストも、スペーサ増し増しハーフクリップ付きフラットペダルも、リアライトも、サドルバッグも、シートバッグも、ドリンクホルダーも、空気入れ等の整備グッズも、全て予定通りだ。初物のパーツを本番稼働させるのは危険なので、事前に数100km走り込んで試しておくのが重要だ。

究極的に確かめたかったのは、私の身体が200km山岳ブルベに耐えるかどうかだ。結論としては、200kmならかなりきつい山岳コースでも耐えられることがわかった。と同時に、300kmで獲得標高5000mとか言われたら、正直気が進まないし、完走確率はかなり下がりそうな気もした。300km以上なら平坦気味のコースを選びたいところだ。そして、やっぱりロングライドの能力はロングライドをしなくなると衰えると思った。翌日の筋肉痛が酷かった。逆に言えば、ロングライドを定期的にすれば慣れるということでもあるので、ぼちぼちやっていこう。

追記:パワーメータに関してだが、帰宅後に調べたら、電池の蓋の端子がヘタっているのが原因と分かった。端子の爪を立てたら直った。