フジイチ再挑戦と再失敗
- 山梨県南都留郡富士河口湖町
- 静岡県御殿場市
- 山梨県南巨摩郡身延町
前回の旅では整備不良で撤退することになったフジイチだが、失敗したままでは悔しいので、再挑戦することにした。今回は日帰りである。御殿場駅まで電車輪行して、そこから反時計回りで富士五湖(山中湖、河口湖、西湖、精進湖、本栖湖)を巡ってから、南下して富士宮を抜けて、469号を東進して御殿場に戻るコースだ。フジイチは距離は150kmと短いが、獲得標高が2000mを超え、「日帰りイチ」コースとしてはかなり難易度が高い。ブロンプトンならなおさらだ。結論としては、100km程度走ったところでパンクしてまた撤退する羽目になった。

私は日本各地を自転車で回るつもりだが、一筆書きのように日本一周をするわけではない。一度自転車で訪れたことのある場所には輪行で行っても良いことにしている。いわば「ルーラの法則」だ。前回の旅で御殿場まで自走しているので、今回御殿場に輪行で行くのは私の中で許容される。なお、御殿場の快活クラブに泊まると12時間パックで3300円だが、世田谷から御殿場まで輪行すると往復で2420円なので、関東一円であれば漫画喫茶の貧乏宿泊よりも日帰り輪行の方が安い。それなのにルーラの法則を掲げているのは、ちょっとずつ世界を踏破していくRPG的な楽しみがあるからだ。
再挑戦するにあたって、前回ダメにしたシュワルベワンを手持ち最後のシュワルベワンに付け替えた。引き続き、両輪ともシュワルベワンという贅沢仕様だ。ブレーキパッドの位置は念入りに調整して、急ブレーキでブレーキアームが多少撓んでも決してパッドとタイヤが接触しないようにした。接触するとタイヤが削れてバーストしてしまう。ブロンプトンはホイールの脱着作業でブレーキパッドが押されることがあるので、ホイールを付け直した後には必ずパッドの位置を確認するようにしたい。

また、リアスプロケットのトップを12Tから11Tに付け替えた。この11Tギアはロードバイク用の鍔付きギア(Y1ZJ1140E)の鍔を電動グラインダーで削った手作りだが、今回のために半日かけて削り出した。通算4個目だ。半年も乗ると歯が摩耗して作り直さにゃならんのが辛いところだが、やはり11Tは良い。11Tと18Tの超ワイドレシオ2速構成だが、円滑にギアチェンジできるように調整した。18Tはフレームに干渉して普通には付かないので、歯の頂点を削って無理やりつけている。

なぜ登坂が多いフジイチで重い11Tを選ぶかというと、山梨側の湖畔地帯は平坦基調だからだ。フロントはアウター楕円52Tとインナー楕円39Tのフロントダブル構成なのだが、楕円52Tと11Tの組み合わせで平坦を走ると、私の脚力に丁度良く、風を感じながら気持ちよく走れる。ケイデンス70で走るとすると、52T / 11T * 60rpm * 1.34m * 60 = 22.51km/hの速度で走れる。これくらいだと、気温がそこそこ高くても発汗と乾燥の均衡が取れて、汗でべちょべちょにならずに走り続けられる。12Tで同じ速度を出すとケイデンスは76rpmになるのだが、それだと若干忙しい感じがする。また、私のペダリング技術が甘いだけかもしれないが、ケイデンスが高いと尻が痛くなりやすい。ブロンプトンの乗車姿勢はロードよりは直立気味になるのでなおさらだ。登坂では18Tを出すので、登坂能力にトップの歯数はあまり関係ない。18Tを出す勾配の閾値が下がるというだけだ。

余談だが、楕円チェーンリングだとケイデンスの許容範囲が広くなると私は思っている。70rpmを最適として、50rpmから90rpmくらいまでなら特段辛いと感じずに漕げる。てことは、52T/11Tの適応範囲の速度は19.0km/hから34.2km/hだ。下り坂で34.2km/h以上出る場合には休憩がてら足を止めればいいし、登坂や逆風で19.0km/h以下しか出ない場合はより低いギアを出せばいい。リアを18Tにすると、適応範囲の速度は11.6km/hから20.9km/hになる。私のフロントダブル化は変速機がつけない方法なので、アウターとインナーの切り替えは右足でチェーンを押して行うことになる。それがちょっと手間で、フロント変速はあんまりしたくない。それでも、アウターだけで11km/hから34km/hをカバーするなら、平坦基調の区間はアウターだけでいける。峠の登りではインナーを出して、11Tで19.9km/hを中心に14.2km/hから25.6km/hまでをカバーし、18Tで12.1km/hを中心に8.7km/hから15.6km/hまでカバーする。これなら、フジイチだけではなく、大抵のコースをそんなに苦労せずに走破できる。もちろん、11Tと18Tの間に14Tとかがあればもっと楽なのだが、少ないギアを工夫してやりくりするのもそれなりの楽しさがある。シングルスピードで頑張る猛者も巷には結構いるみたいだし。

準備を万端にして迎えた当日、乗り出してみたら後輪に違和感があった。なんと、スローパンクで空気が抜けていた。前日に都内を40kmほど走っただけなのに、それでパンクしていたっぽい。なんつー弱いタイヤだ。穴の箇所は普通に接地面に当たる部分だったので、普通に穿孔パンクだ。電車に間に合わせるために大急ぎで直して、出発した。

朝6時22分の小田急線に乗り、松田でJR御殿場線に乗り換えると、9時2分に御殿場駅に着いた。朝9時くらいに着くと、現地で12時間くらいは行動できるので、全体の行程が楽になる。今回は135km/12hなので、グロス速度11.5km/hでOKだ。ブルベの標準であるの15km/hよりもかなり余裕があることになる。さて、ブロンプトンなので一瞬で組み立ては終わり、サクッと乗り出せた。輪行袋を畳んでフレーム内に押し込むのが多少面倒だが。

138号に沿って山中湖方面に向かうのだが、途中が自動車専用道になるので、富士駐屯地までは418号を走らねばならない。前回はここの乗り換えでなぜかふじあざみラインに入る失敗をしたが、今回はその教訓を生かした。というか、山中湖に向かいたい人が2枚目の写真にある看板を見たなら、普通は左折しちゃうだろう。この看板はマジで罠だ。


138号に沿って標高1108mの籠坂峠に登る。といっても、五反田から須走までの登り基調と大して変わらない勾配で、きついところでも6%しかない。ふじあざみラインの12%攻勢の後では、こんなのは児戯に等しい。


坂を降りるとすぐ山中湖がある。オートバイで富士五湖巡りをしたことがあるので知っている場所だが、気持ちが良い場所は何度来ても良い。



山中湖に限らず、湖畔を走るならば常に平坦だ。そして、山中湖から河口湖までは、かなり長い坂をずーっと下っていくことになる。つまり山中湖と河口湖の標高にはかなり差があるということだ。11Tを装着しているおかげで、平坦や下りはとても気持ちよく走り抜けられた。途中に富士急ハイランドも見える。



河口湖。ここから見える富士山の形が最も均整が取れているような気がする。



フジイチは富士五湖の北側を回るか南側を回るかで距離が結構変わるが、今回は湖と富士山が見たいので北側を通った。北側は景色が良いし、車も少ないし、自転車が通りやすい道が多いので走っていて気持ちが良い。河口湖から先は勾配はほとんどないが、河口湖と西湖の間だけちょっとした登りがある。


西湖。周りにキャンプ場くらいしか施設が少なくて、自然を楽しみたいならここた一番かもしれない。水質も良さそうだ。釣り人がかなり多くいた。



西湖から先は樹海の北端を通るので多少距離があるが、日陰なので走りやすい。精進湖はその先だ。以前来た時は精進湖の南岸しか見なかったので景色があんまりよくないと思ったが、今回は一周して北岸にもいったので、景色の良い場所がたくさんあることがわかった。カヌーのコースがあって、たくさんのカヌーイストが集まっていた。



精進湖のすぐ先に本栖湖がある。ここから見る富士山ももちろん美しいのだが、私の中では1位は河口湖で2位は山中湖かな。ゆるキャンでなでしこが寝ていたトイレもあった。




富士山の東側で静岡県から山梨県に入るさいに籠坂峠があったように、富士山の西側で山梨県から静岡県に入る際にも峠があるのかと思いきや、ちょっとした坂道を登ったらすぐ静岡に入ってしまった。河口湖から先がずっとゆるやかに登り基調だったってことなのかな。不思議な気分だ。


静岡に入るとそこは朝霧高原で、ゆるやかな坂をずーっと降ることになる。楽ちんだ。昔子供を連れてきた花鳥園やまかいの牧場も通りかかった。




朝霧高原を降り切ると、東の進路を変えて御殿場方面に向かうことになる。長い坂を降りたということは長い坂を登ることになる。県道23号を通って富士総合演習場の真ん中を突っ切ることになり、今回の旅でここが最も体力をつ開くところのはずだった。しかし、ここで後輪にグニュっとした感覚があり、見てみたらパンクしていた。またかよ。今回も修理キットは割愛していたので、ここで撤退確定だ。


最寄りのバス停に行くべく道を戻ってトボトボと押し歩きしていたら、おそらくパンクの原因であろうものを見つけた。道全体に陶器の破片が散らばっていたのだ。これを踏んだら、パンクガードのないシュワルベワンでは耐えられないだろう。マラソンやマラソンレーサーだったら耐えたと思うけど。

バス輪行で撤退。うぬぬ。まだまだ時間にも脚力にも余裕があって、ここからが面白いところなのにー。しかし、パンク修理キットを持参しなかったのは自分の判断だし、タイヤにシュワルベワンを選んだのも自分の判断だ。その結果を引き受けるのもまた自転車道というものだ。

残念ながらフジイチの試みはまたも失敗に終わったが、反省の材料にしよう。まず、シュワルベワンはやはり弱い。街乗りでもパンクするし、遠出をすればかなりの確率でトラブルに遭いそうだ。田舎を走ればガラスや陶器が散らばっていることはよくある。「簡単に輪行できるのでパンクしたら撤退すればいいや」というポリシーで今までやっていたが、ここまでトラブルが続くと流石に考え直さざるを得ない。マラソンレーサーでパンクすることは非常に珍しかったが、ワンでロングランするならパンク修理キットは持参した方が良いかもしれない。ポンプや工具などの修理キット一式の重量はワンの軽量性を殺してしまうことになるが、仕方ない。
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