360mm幅ナローハンドルの導入

Shimano PRO PLT コンパクトの360mm幅ハンドルをAnchor RE8に導入したという話。肩幅よりちょっと狭いナローハンドルにすることで、空気抵抗を減らすとともに、ロングライドでの疲労を低減することを企図した。実際に乗ってみても、その期待に沿うものであった。


導入経緯とナローハンドルの特徴

ロードバイクはBridgestone Anchor RE8のフレームサイズ420に乗っているが、完成車付属のハンドルの幅は400mmだ。これは私にはちょっと広めに感じる。左右のブラケットの間隔が自分の肩幅より若干広いので、ハの時に腕を広げている形になる。これだと腕に風を強く受けるのが無駄に思っていた。ロングライドではDHバーを握っていることが多いが、その際にもハンドルが無駄に横に飛び出ていることになる。さらに、車を追い抜いたり、逆に車に追い抜かれたりする際に、幅が狭い方がぶつかりにくい。

一般に、グリップ間隔が広いほうがハンドル操作が楽で外乱に対する安定性も良いと言われる。それは物理的に正しいが、オフロードを走るのでなければ、外乱に対する安定性は不要だ。また、ロングライドの場合、鋭く旋回することは稀だ。直線走行では走行ラインと重心の微調整に伴ってハンドル操作を行うが、それには大きいトルクは必要ないので、小さい動作で済ませられる狭いハンドルの方が楽だ。通常の旋回時のハンドル操作は重心移動のきっかけを作る逆操舵が主であり、これも大きいトルクは必要なく、小さい動作で済ませられる狭いハンドルの方が楽だ。適切な重心移動によって車体が傾いた後はセルフステアで前輪がコーナー内側に切れ込むが、それはハンドル操作によるものではない。むしろ過度なセルフステアを抑制するために抵抗する力をかけるのだが、その際にも大きなトルクは必要ない。

グリップ間隔が肩幅と同じ方が腕が地面に向かって真っ直ぐに向くので上半身を骨で支えられて楽だという俗説があるが、これは正しくない。エアロポジションでも普通のアップライト気味な乗車姿勢でも、肘は常に曲がっていて、骨で支えているわけじゃない。筋肉で支えている。また、そもそも腕は前方に向かって伸びているので地面に真っ直ぐに向いていない。さらに、グリップ幅が420mmと360mmの間で変わったとて、左右方向の角度が大きく変わるわけでもない。ゆえに、低負荷走行の際に上半身を支えることの容易さはハンドル幅を変えてもそんなに変わらない。高負荷走行の際には腕を引きつけてペダリングの反作用を受け止めることになるが、その際にはハンドル幅が狭い方がトルクが小さくなって不要にハンドルが動きにくくて良い。さらに、肩甲骨が自然に外転して背中が若干丸まっている姿勢の方が腕の筋肉を柔軟に動かしやすい。つまるところ、悪路走行や急旋回をしないことが前提なら、ハンドル幅は狭めな方が利点が多い。

そして何より、ハンドル幅が狭い方が空気抵抗が小さくなる。腕が内側に入って前面投影面積が減るのだから当然だ。400mmから360mmに変えるとグリップが40mm内側になる。30km/h巡航に必要なパワーが3W〜5W減るらしい。仮に4W減るとすると、それは廉価タイヤから最高級タイヤに変えたくらいの違いであり、素人が体感できる程度の違いでもある。同じ速度を少ないパワーで出せるのであれば、それはレースだろうがロングライドだろうが楽に決まっている。ハンドルを変えただけで、腕だけでなく脚が楽になるというのは面白いものだ。

2026年現在のUCIの規定では、ハンドルの外幅が最低400mmでブラケットの内幅が最低280mmという制限がある。あまりに極端なエアロポジションはとれなくなっているが、巡航時に280mmのブラケットを握るというのは相当にエアロポジションを追求した姿勢になるので、プロならではの技量が発揮できる。それでいて、集団スプリント時に下ハンを握って接触等の外乱に耐えて姿勢安定性を確保するには400mmくらいあった方が望ましいということだ。選手の体格を無視した一律の規定ではあるが、一律の方が検査しやすいし、ブラケット内幅280mmというのは十分に狭いので、現実的な落とし所だと思う。UCIが狭いハンドルを禁止しているというのは、多くのプロや関係者が狭いハンドルの方が速いと判断していることの証左でもある。いずれにせよ、私はUCI規定に準ずるレースに出る予定がないので、その規定に束縛される理由はない。むしろガチ勢が使えない装備を使えるというのはエンジョイ勢にとっては肉体的不利をほんの少し穴埋めする機会になる。

UCIの規定の中で最適化すると必然的に下ハンを末広がりにしつつブラケットを内側に傾けるフレア形状のハンドルになるわけだが、それはエンジョイ勢向きじゃない。エンジョイ勢においては身体能力や操作能力の限界によってグリップ幅が決まるわけで、その限界幅はブラケットでも下ハンでもほぼ同じだから、下ハンだけを広げる理由がない。エンジョイ勢はブラケットを握ってエアロポジションを長く続けることが難しいし、私もできない。そうすると、高速走行時や逆風時に空気抵抗を減らしたい時には下ハンを握ることになる。その際にブラケットポジションより腕が広がるのは本末転倒だ。オフロードを前提とするなら下ハンだけ広げるというのも合理的だが、ここではオンロードの話をしている。

狭いハンドルの方が良いなら、なぜ完成車に最初からそれがついてないのか。Anchor RE8のフレームサイズ420はの適合慎重は154-167cmで、その体格ならば芯・芯で380mmや360mmの方が良さそうなものだが、実際には芯・芯で400mmのハンドルがついている。芯・芯で380mmならばUCIの外幅400mm規定には通るだろうし、そもそもRE8の発売当時にはその規定は無かった。それでも敢えて広めのハンドルを採用しているのは、当然マーケティング的な理由があるからだ。つまり、想定ユーザ層は広めのハンドルを好むとメーカーは考えているはずだ。RE8のコンセプトは「Extended」なので、多少の不整地も含めたより多様な環境で走れるという意味では、広めのハンドルもありだと思う。セルフステアや逆操舵の概念が分かっていない初心者が購入した場合にハンドルが狭いと不安に思うというのもあるかもしれない。とはいえ、本格的なグラベルやトレイルを走りたい人がRE8を選ぶとは考えにくく、RE8の仕様や価格帯だと初心者よりは慣れた人が多いだろうから、ちょっと中途半端な設定になっている。デフォルトは典型的なユースケースに合わせるべきで、ならば420サイズのハンドル幅は380mmで良いはずだ。プロがナローハンドルに舵を切っているのを受けて、一般ユーザも徐々にそれに染まっていくだろう。そうなれば、後継車種の完成車のハンドル設定は狭くなると私は予想する。

製品選定

製品選定には手こずった。360mm幅をラインナップに加えている製品がそもそも少ないのと、DHバーをつけるための条件が厳しいからだ。私は自転車旅やロングライドでは半分くらいの時間をDHバーを握って走るというくらいDHバーが好きなので、DHバーは外せない。

走行中にDHバーがずれないようにするには、締め付けボルトが舐めないギリギリくらいまで強いトルクで締め込む必要がある。そうすると、カーボンハンドルでは割れてしまうことがある。よって、アルミハンドルであることが必須だ。また、DHバーの取り付け金具は、ハンドルとの接合部分が31.8mm径の円柱であることが前提となっている。よって、扁平のエアロ形状になっているものはダメだ。また、ほとんどの製品で、ステム周辺の太さは31.8mm径であっても、グリップ部分に近づくにつれて細くなるテーパー形状を採用している。そのテーパーが始まるまでの直線部分にDHバーを取り付けることになる。その直線部分が狭い製品もだめで、直線部分が最低85mm程度であることが必要となる。360mm幅がラインナップにあるとテーパーの開始が早まる傾向にあるので、これが最大の問題となる。

ハンドルのドロップ部分の形状は、従来から使っているコンパクトとかアナトミックシャローとか呼ばれているもので良い。ドロップのカーブが円に近いクラシックだと手首を立てなきゃならないので握りにくいし、ドロップのグリップ部分が直線に近いアナトミック形状だと握る場所が限定される上にブレーキレバーが遠くなる。よってその中間であるコンパクト形状が主流になっているのわけだが、私もそれが最も使いやすいと思う。主流なだけに、特に形状に断りのない製品を選べばだいたいコンパクト形状になっている。

アルミで、31.8mm径で、円柱形状で、直線部分が十分に広い、コンパクト形状の、360mm幅の製品。その中で、できれば軽くて丈夫で安価なものが良い。ネットで各種製品の仕様やレビューを漁ったところ、以下の3製品が良さそうだ。

材質重さ定価
TNI エルゴシャロー エコA6000系アルミ合金280g3960円
TNI エルゴシャロー ウルトラライトA7000系アルミ合金230g8800円
シマノ PRO PLT コンパクトA2000系アルミ合金255g14410円

重量だけ考えると、TNIエルゴシャローウルトラライトが最も軽い。カーボンよりは重いが、アルミハンドルの中では断トツで軽い部類に入るだろう。A7000系はアルミに亜鉛を加えた合金で、A6000はアルミにマグネシウムとシリコンを加えた合金で、A2000系はアルミに銅を加えた合金らしい。A6000は錆びにくく加工しやすいので安価に製品化できるので、それを使ったTNIエルゴシャローエコは安い。A7000は強度が最強なので、それを使ったTNIエルゴシャローウルトラライトは薄くできて軽量になるが、加工が大変なので高い。A2000系はそこそこ強くて金属疲労耐性が高い。シマノPRO PLTコンパクトの価格が高いのは、A2014を使った上で、パイプの部位毎に厚みを変えたバテット加工をしているからだそうな。それによって、アルミの割には衝撃吸収性が良いとのこと。

コスパから考えるとTNIエルゴシャローウルトラライトが良さそうなので、売っている場所を探したのだが、360mmはラインナップにはあっても、新品でも中古でも市場に存在しない。TNIエルゴシャローエコの方も探したが、それもない。なので、中古で出回るのをしばらく待っていたところ、予想外にシマノPRO PLTコンパクトが出品されていた。ビチアモーレが直販とヤフオクとメルカリに同時出品していて、直販だと4400円、ヤフオクとメルカリは4900円という値付けだった。手数料を考えるとそうなるわけだが、当然直販で買うのが最善の行動となる。送料は600円だ。5000円でも安い買い物ではないが、恒常的に4W減らせるならコスパとしては悪くない。

購入する前に、DHバーが付くかどうかを確認すべきだ。ビチアモーレに電話して直線部分の長さを測ってもらうことも可能かもしれないが、お互いに面倒くさい。そこで、商品写真から割り出すことにした。Gimpの定規ツールで測ったところ、画像上のハンドル径は53.5ピクセルで、直線部分は148.8ピクセルなので、その比率に31.8mmを掛けると、88.45mmということになる。これは最低85mmという基準を超えているので、なんとかDHバーが付くということになる。

設置

製品が届いたので、早速設置作業をしてみた。その前に、従来のハンドルを外して、重量の比較をしてみた。従来品は実測367.8gで、PLTコンパクトは実測250.4gなので、117.4g軽くなったということになる。ハンドルだけを持ち比べると、重さが全然違う。

ハンドルの換装作業を自分でやるのは始めてだが、ケーブルがセミ内装でハンドル内を通っていないこともあり、特に問題なくできた。エンドキャップを外して、バーテープを剥がして、STIレバーを外して、ステムからハンドルを取り除く。新しいハンドルを付け、STIレバーを付ける。バーテープを巻くとSTIレバーの位置調整が面倒になるので、後回しにする。

ハンドルを設置するにあたり、仰角が重要だ。これが期待とずれていると、掌や手首が痛くなってしまう。原則としては、横から見てドロップが始まるまでの水平部分を地面に対して完全水平になるように調整する。そうすると下ハンのグリップ部分がやや前上がりになる。水平部分が前下がりだと、親指と人差し指の間の合谷がブラケットに押し付けられて痛くなる。ドロップ部分が前上がりすぎると、手首が上側にひん曲がって疲れる。よって、双方が起こらない角度に調整することが求められるが、上部を水平にすれば大抵は良い感じになる。ブラケットを仮止め状態にしてハンドル本体の仰角を決めた上で、ブラケットの位置を調整する。ブラケット位置を決めてからハンドル本体の仰角を調整するのは、ブラケットの仰角がずれるので駄目だ。で、ブラケットは、根本が水平で、円弧によって先がやや前上がりになるように調整する。ブラケットを内側にほんの少し傾けると握りやすくなるが、やりすぎ注意だ。左右差をなくすには、ハンドルステムの中心からブラケットの根本と先端までの距離を巻き尺で測って、それぞれが左右で同じになるようにすればよい。あとは、乗りながら微調整する。

400mm幅の従来品と並べると、360mm幅の狭さがよく分かる。左右片方では20mmしか変わっていないわけだが、目をつぶって握っても弁別できる程度には違いがある。リーチやドロップは以前とほとんど変わっていないので、違和感はない。

DHバーも問題なくつけられた。台座の根本をテーパーが始まる前のギリギリの位置にすると、肘置きの距離がまさにドンピシャになり、いい感じだ。DHバー本体はカーボンのものを使っているが、台座とハンドルが強靭なアルミであれば、強めに締め込んでも全く問題ない。左右の棒が結合しているU字型のDHバーだと台座の距離の調整ができないので装着できないかもしれない。

後日の話になるが、バーテープもつけた。アセテートテープでケーブルとハンドルを巻いて固定してから、その上にバーテープを貼る。ネット上のバーテープの巻き方の解説でたまに「ビニールテープ」とか「絶縁テープ」を巻くと説明されていることがあるが、ビニールテープは熱でぐちゃぐちゃになるから望ましくない。ホームセンターや100均でも売っているアセテートテープを買うべし。バーテープはアリエクで最安値のものを買った。

実走レビュー

早速家の周辺を走ってみた。走り出した最初だけは違和感を感じると思っていたが、全くそんなことなかった。以前からこの幅だったかのような自然な操作感がある。むしろ今まで無駄に広いハンドルを使っていたと思い知った。

以前は腕がハの字に広がっている感覚があったが、今だとほぼ真っ直ぐに感じる。ブラケットを握る際も下ハンドルを握る際も同様だ。実際には肩幅(左右の上腕骨頭中心の距離)よりもほんの少し狭いはずで、また自然に外側に広がった肘の位置からすれば前腕は顕著に内側に向かっているわけだが、それによる違和感も全く無い。むしろ握りやすく、ハンドルを動かすのも楽だ。自転車は基本的に重心移動で曲がるものなので、ハンドルはちょびっとしか動かさないものだ。その動きをする限りにおいて、今回の幅は丁度良く、身体との一体感がより強くなった気がする。上半身を支えるのが楽になったという感覚は特にないが、辛くなったということもなく、以前と同じだ。

脱力してペダリングして巡航する時は、上半身を支えるためにハンドルには上から下に荷重がかかる。その際の重心の左右位置の変動域よりもグリップ位置が狭いと安定しなくなるわけだが、グリップが40mm程度狭くなったところで、余裕はまだまだあるらしく、不安定になることは全くない。というか、DHバーを握ってすらクネクネ曲がる術を身に着けている自分としては、グリップ幅が360mmもあれば直線走行はもちろん、旋回も全く問題なく行える。操作が難しくなった感覚も一切ない。

登坂等で力強く踏み込む際には、逆に引き手によって斜め下前から斜め上後ろに力がかかる。その際には、引き手でハンドルが回らないように腕を内側に押し付けてハンドルを固定する力をかける動作を無意識にやっているわけだが、ハンドル幅が狭いとその動作が若干楽になる。ハンドル幅が狭まって肩甲骨の外転が若干強まった状態であることは、内転させる力をかけて引き手と連動させるという動作もより楽できることを意味する。それもあって、グイグイ踏み込んで加速する際の躍動感が若干高まった気すらする。重めのギアで登坂するのが若干楽になった。

ところで、「背中の筋肉を使って引き手をすると力が入れやすい」というのは、どういうことだろうか。引き手はペダリングの反作用で上半身を浮き上がろうとさせる力に伴って変形しようとする手や腕や肩の関節を固定する運動であり、関連する筋肉は全てアイソメトリック(等尺性)収縮をしている。上半身に着目すると、何も移動していないので、物理的な外的仕事量は0ジュールだ。それでも筋肉は稼働しているので、生体的総効率をひたすら悪化させる行為でもある。ここで、2関節のコの字の物体の端を上下に引っ張った場合を想定する。直列に連なった2つの関節には同じ応力がかかり、弱い方から壊れる。ひとつが肘でひとつが肩だと考えよう。背中の筋肉を使って肩をしっかり固定したとしても、肘にかかる応力は変わらず、それを支える上腕や前腕の筋肉の負荷も変わらない。ゆえに、背中の使い方をうまくしたところで腕の負荷は変わらないというのが物理学的な事実だ。

一方で、肩甲骨が外転している状態の方が、完全内転している状態よりも、運動効率が良くなる。言い換えると、僧帽筋や広背筋が多少伸びた状態の方がアイソメトリック収縮においても効率が良いので、背中は楽になる。体の中心に近い肩関節を支えるのが楽になるので、肘関節や手の関節などの末端を支えることに意識とエネルギーを多く割けるようになる。さらに、背骨と肩の位置が安定すると背骨を通じて下半身への応力伝達が安定する。ひいては、力が入れやすく感じるということになる。理屈が合っているかどうかはいまいち自信がないが、主観的な経験としては、ハンドル幅が狭いほうが強く踏み込める感覚があるのは事実だ。

空気抵抗は、劇的というほどではないが、体感できる程度には低下している。地蔵峠の途中にある自宅から市街地まで降りていく際には空走するだけで60km/hとかの速度が出るわけだが、その際に思ったより速くなるので怖いくらいだ。平坦を30km/hくらいで巡航する際にも、空気に引っ張られて失速する感じがほんの少し和らいで、意外に速く走れるという感覚になる。とはいえ、プラセボ効果も大きいので、感覚は信用できない。そして、風で空気抵抗は大きく変わるし、服装を変えるとか頭を下げるとかでも変わるので、ハンドル単体の効果を分離するのは難しい。

ハンドルを変えてからまとまったロングライドにはまだ出ていないが、50km程度の普段乗りの範疇でも、若干疲労が減った気がする。これもプラセボ効果かもしれないが、物理学的に考えれば抵抗が減ってCE(cycling economy)が向上していることは間違いないわけで、おそらく実際に平均時速が上がるか平均パワーが下がるか、その両方の効果が発生しているはずだ。上半身を休めたい時や空力を良くしたい時はDHバーを握ることが多いが、市街地だと交通安全上それができないので、その際に上ハンで走っている場合にも空力が改善されるというのは良いことだ。

PRO PLTはバテット加工によって薄い部分を設けていて、そこがしなるので衝撃吸収性に優れるという話だ。しかし、その効果は正直言って全く分からない。結構大きい段差を踏んで強い衝撃を拾った場合でも、全くしなった感触がない。自宅から市街地まで舗装の悪い道を降りると、従来と同様に手が痛くなる。多少構造を工夫したところで、カーボンハンドルのようにはいかない。グリップ幅が狭いほどにしなりを生むためのトルクが小さくなるというのもあるかもしれない。

ドロップハンドルのコンパクト(アナトミックシャロー)形状の使用感に関しては、以前と全く変わらずだ。下ハンを握っている時には、ドロップ形状がどんなでも、STIのブレーキレバーは握りにくい。レバーが遠くなるというのもあるが、もう一つ問題がある。下ハンを握るとハンドル荷重が増すわけだが、荷重や衝撃を支えるのとレバー操作をするのを同じ腕でやるのは難しくなる。腕立て伏せしながら筆算をするようなものだ。根本的に難しい操作をしていることを鑑みれば、なんとかレバー操作ができているだけでも御の字だ。この点はハンドル幅や製品を変えたところでどうにかなるものではないので、うまいこと技術を上げて乗りこなすしかない。

DHバーを握った時の乗り心地は、当然以前と変わらない。固定力も十分で、運転中にずれることはない。DHバーを握っている際にはハンドルは単に横に飛び出した邪魔者でしかなく、突出部分が短くなったことは若干の空力向上になっているはずだ。しかし、体感できるほどではない。それはともかく、ナローハンドルと比べても、やはりDHバーの空力は断然良いと実感する。そして、手の痺れや上半身の疲れもDHバーは抜本的に解決してくれる。日常の買い物サイクリングでも旅のロングライドでも、DHバーを使える時に使わない理由がない。

上田市街を走ってみたが、街乗りでもハンドルが狭い方が快適だ。歩行者や車や電柱にぶつからずに街中を走るには、ハンドルが狭い方がよい。なお、道路交通法により、幅が60cm以上の車両は歩道に乗り入れることすらできない。40cmでも42cmでもその制限には無縁だが、狭いほうがぶつかりにくいというのは明白だ。渋滞等で車を左からすり抜ける際にも、狭いほうが楽だ。押し歩きする際にも、狭いほうが右ハンドルに手が届きやすいので楽だ。そして、街乗りの速度域と舗装路では路面からの外乱も弱いので、幅広である必要がない。幅広の方が視界を高く保てるという説も、間違いだ。幾何学的に考えてグリップ幅と肩幅が同じ時に頭が最も高くなる。視界を高くしたい時はブラケットじゃなくて上ハンの水平部を握れば良い。信号等での停止後の発進時に強めに踏み込む際にも、ハンドルが狭い方が引き手を使いやすい。

狭いハンドルが良いなら、360mmじゃなくて340mmや320mmなどのもっと狭いものの方が良いのではないかという話もある。もしそのような製品が手に入るなら試してみたい気持ちはある。とはいえ、狭くすることの利点にも収穫低減があり、一定値を過ぎれば欠点の方が大きくなるだろう。つまり、あまりに狭いと、操作性の悪化や呼吸のしにくさが顕著になる割には、空力等の利得が少なくなるだろう。360mmではまだ私にとって利得の方が大きいが、それより狭くしてどうなるかは試してみたいと分からない。ただし、DHバーとの棲み分けを考えるなら、これ以上狭くする動機はない。

まとめ

ロードバイクに360mm幅のナローハンドルを導入したところ、速く楽に走れるようになった。肩幅よりも若干狭い方が楽に走れるだろうという考察が導入の理由だったが、その期待に沿う結果になった。ハンドルの操作性も引き手の効率性も良くなり、空気抵抗も体感できる程度に改善される。それでいて、オンロードでは特にデメリットがない。5000円でこの効果があるのだから、コスパが良いカスタマイズと言えよう。